あかりまち日誌

管理人まそらかなたの創作絵展示サイト、『あかりまち』の日記コンテンツです

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祖父への旅  

拍手のお返事やメールのお返事が遅くなっており、申し訳ありません。
母方の祖父が亡くなり、岩手に行っておりました。
明日から順々に返して行きたいと思います。


本当に私事で恐縮ですが、今日の日記は祖父追悼記とさせてください。


英語の教師なのに、国語を教えていたという祖父。
本が好きで、二階の床が抜けそうなほどの本を持っていました。

多趣味で、定年退職してからはじめたことだけでも、大正琴やハーモニカ、詩吟や書道など、幅広かった。
中でも詩吟は熱心にやっていて、雅号は『智風』。祖父にぴったりの名前だった。

耳が遠くて、会話は苦手だったけど口は達者で話上手だった。
総入れ歯なくせに、お肉が好きで、味の濃い洋食やこってりしたものは、子どものように喜んで食べた。
甘いものも好きで、和菓子よりも断然洋菓子派。
ミーハーで流行のお菓子をなにより好んだ。

妻を早くに亡くし、二人のこどものためにすぐまた奥さんをもらった。
感情表現は苦手で不器用な人だったけど、たぶんこの世で一番、娘である私の母を愛していた。
母に面影が似ている私のことを、そっくりだといつでも優しい目で見つめていた。
私を通して、いつでも娘である私の母のことを見ているようだった。
見かけによらず子どもも好きで、孫のアキも大切にしてくれていた。

書斎にこもり、勉強や趣味ごとばかりしていた。
いまさらだけど源氏物語の訳をしたいと、夢はいつも大きかった。
退職したら二人でたくさん旅行しようと言っていたのに、
結局岩手から出たのなんて数えるほどなのよと、後妻の祖母はいつも笑って言っていた。

戒名にはこだわりがあったようで、まだ生きている間に戒名をもらい、うれしそうにコピーを見せてくれた。
そうして行われたお葬式は、今まで見たどのお葬式より儀式的で、一つ一つが丁寧に行われていて驚いた。


印象的だったのは、火葬場へ向かう山道。
寒い岩手とは言え、一関には近年珍しく山々は雪化粧だった。

それはまるで祖父が母につけた美しい名前のようで、眩しくて涙がにじんだ。


火葬の直前、祖父の顔を見て『口を開けて、(棺の中の)チョコを食べようとしてるみたい』と母は笑った。
集骨のとき、足の骨から集めるようスタッフに言われると
『胸の骨を入れたいから、じゃあ私はあとでいい』と駄々をこねた母。
それは見たことのないような、わがままな少女の横顔だった。
その後も、『私はもう大きな骨入れさせてもらったから』と言いつつ、最後まで集骨の箸を離さなかった。

まるで熱烈に片思いをされた相手を看取るようなお葬式だった。
母は全身で、祖父からの愛情を受け取っているかのように見えた。
まるでそれが当然の使命かのように毅然と。
これが娘という存在なのだ、と悟った。



不器用な親子だったけど、母は祖父の影響で古文を、源氏物語を愛していた。
そんな母を見て育った私も自然と和歌を愛すようになり、大学では平安文学を専攻。紀貫之に焦がれた。

忘れもしない中学2年生のクリスマス。
私は授業でならい始めたので、百人一首が欲しいと祖父にねだった。
もらった百人一首でわくわくと和歌を覚えた私は、その翌年、学校で開催された百人一首大会で1位になった。
6人1組で個人戦をさせられ、その中で私が取った枚数は50枚超。(でも実はそれでもかなり手を抜いていた)
今でもその百人一首は大切に持っている。
こうして、私の中にも確かに祖父の魂が息づいている。


今でも、アキを見せに行った最後の日の一関駅で、エレベーターに乗らなかった事を後悔しています。
あの日、エスカレーターで転んでしまわなければ、もっと好きな散歩をたくさんしていたのかもと。
でもそれも今となっては過ぎたことだけど。


ヒロさんの出産祝いももらっていたのに、写真さえ送っていなかった。
いつでも会えると思っていた。
引っ越しが落ち着いたら、帰省が終わったら、七五三の写真もつけて、年が明けたら、お誕生日が過ぎたら。
最終的には、バレンタインのチョコもつけて…と思っていたら届いた訃報。
本当に本当に後悔しているけれど、きっと彼は『そんなこと』と言って笑うのでしょう。



かみさまとかほとけさまとか分からない。
死後の世界があるかどうかなんて知らない。

でも、どうか彼の魂が、信じた場所へたどり着けますように。
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category: つれづれ

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