あかりまち日誌

管理人まそらかなたの創作絵展示サイト、『あかりまち』の日記コンテンツです

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サン・イチ・イチ その4  

<前回までのあらすじ>
地震後、なんとか辿りついた飛尽さんのお宅から今度は自宅のある神奈川まで
ものすごい渋滞に巻き込まれつつタクシーで移動し、乗車5時間ののちようやく多摩川を渡りました。



乗車5時間のタクシー。
皆さん、料金の想像ってつきますか?

調べてみたんです。
本来なら荻窪付近から私の家までタクシーで何分くらいか。いくらくらいか。
そしたら、約60分でほんとは着くはずなんですって。5000円くらいで着くはずなんですって。

それが、5時間。一体どこをどう通り間違ったらそうなるのか。
…イヤ、でもそうじゃないんですよね。
その5時間のうちのほとんどが、停車していた時間なのですから…

タクシーの運転手さんは、ちょっと運転が荒くてちょっとイケイケでバブル世代の雰囲気があったけど
非常事態を非常事態と分かってくれている良い人でした。

あんまりにもひどい渋滞を気にして、時間でカウントアップする料金メーターを途中で止めてくれたのです。

おかげで、そこからは単純に走った分だけの料金がカウントされることになったため
最終的には支払い時に、1万5千円くらいだったと記憶しています。
たぶん、3万近くは行ってたよね。ごめんね、運転手のオニーチャン!

そんなこんなでようやく東京から多摩川越えて無事神奈川入り、もうすぐ家!
というところまで来たものの、まだ停電の気配はナシ。
もしかしてもう電気復帰したんじゃないの?という淡い期待を持ちつつ進むと…

ぽつぽつと暗いエリアが…。
あれ、でもここのコンビニはあかりが通ってるよね、ここのビルは電気が来てるよね、という区域を越えて
さらに進むと、とうとう来ました。
信号さえ真っ暗な区域が…

そこでは、警察の人が手旗で交通案内していました。
車通りがあるからどうにかある一定の明るさが保たれているものの、
薄暗く沈んだ印象の町並みからは普段の表情がいっさいありません。
うねうねと道を抜け、ばっと広い通りに出たなと思ったら…
そこには変わり果てた印象の、闇に沈む最寄り駅が。
その異様さに、私も運転手さんも思わず息を呑みます。

家の近くまで来ているはずなのに、ちっとも見慣れた風景ではなく
おかげで家までのナビすらあやうい感じでした。
『ここは直進でいいんですか?』と聞かれないと、そこがいつもの見慣れた(はずの)交差点だということに
気付けない。

あれだ、この既視感なんだと思ったら、あれに似てる。
ドラえもんの、お座敷釣り堀に入った世界。
いつもの町並みなのに、人が居ない世界。
あかりがないだけで、こんなにも人気がなくなるのか…と。

『もしかしたら、実際まだ家に帰り着いていない人もたくさん居るのかもしれませんね』
というのは運転手さんの言。
なるほど、確かにあの街にあふれかえる徒歩の人波を見た後だと、説得力があります。

おかげで、車のヘッドライトが照らす沈んだ町並みを抜けてようやく目的地の我が家に辿りついた頃には
私は嬉しさよりも怖さでいっぱいになってしまっていたのでした。

5時間、私とピロさんを守り続けてくれていたタクシーと運転手さんに別れを告げて、
真っ暗な穴をあけたようなエントランスと向き合った時の不気味さといったら…
筆舌に尽くせません。

とりあえず、この暗闇の中、一人で4階までピロさんをベビーカーつきで運べないので
ナムに電話。
すると、懐中電灯のあかりがゆらゆらと降りてきました。

なんだか驚くほど久しぶりに見えるナムの顔です。
その顔は頼もしいというよりも、憔悴しきっているように見えました。

ナムに手伝ってもらい、家に入ると…停電なのでもちろん家の中は真っ暗。
そして、冷えきっていました。
『アキさんと毛布かぶって、懐中電灯でしのいでた』とのこと。
夕飯はどうしたのかと聞くと、(その日はたまたま生協の宅配が来た日だったので)
朝食用のパンと、以前買ったまま飲んでなかったお水を飲んだそうです。

タクシーの車内でコンビニおにぎりを食べ、水を飲み、ぬくぬくとこの5時間を過ごしていたことが
どれだけ幸運な環境だったかを思い知らされました。
渋滞がなんぼのもんじゃい。

でも、窓から見えるタワーマンションのあかりがついているのをみて
『最初はあそこも消えてたから、だんだん電気も復旧しているのかも』なんて話をしつつ
今までのお互いの状況を、アキさんが起きないよう声をひそめつつ情報交換していると…

ブツっという電子音。
そして電話の再起動音が…

それこそが、待ちに待った通電の瞬間でした。

喜び勇んで、電気を、そして暖房をつけるナムと私。
明るくなった部屋を見渡すと、さっきまでの暗い気持ちとはうってかわって
希望的な感情がむくむくと自分の中から湧き上がってくるのを感じました。
明かりとはこんなに大事なものなのですね。
人間の文化は、火から生まれたというのが妙に説得力を帯びているように感じられました。

水も出るようになっていました。
あとで分かったことなのですが、マンションは配水を電気でコントロールしているところが多いそうで
我が家もその例に漏れず…ということで、断水は停電に起因するものだったようです。


電気も復活してテレビを見て、その被害の大きさに愕然とするのは、
さらにもっと先の話ですが…まぁもうその話はしなくても推して知るべしということですね。
というか皆さんが既に感じられている通りだと思います。

とりあえず、ついた電気を一通り確認し、ナムに一言。
『なんか食べる?』
『ウン…なんか、あったかいもの…』

作るのも面倒だったので、買い置きのレトルトみそ汁を二人ですすった、震災当日だったのでした。



たった5時間のことで、ここまで文字使うっていうのもどうなんでしょうね!
文章をシェイプアップできないのは、ひとえに捨てる技術のなさゆえだと思います。

でも、何年か経った後に、自分でこの経験を忘れずにアキさんやピロさんに話すことも
大事だと思い、だらだらと書きました。
まるきり自分メモな日記で申し訳ないです…

万が一、ここまで読んでくださった方がいらっしゃったら…申し訳ありません!何のオチもなくて…!!
これがまそらクオリティの日記です、ほんとごめんなさいー!
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